2017年04月12日

増加する「なりすまし」被害~秘密分散処理技術で防ぐ~

セキュリティ・コラム by MM総研所長 中島洋

 セキュリティソフト大手、トレンドマイクロは今後のサイバー攻撃の動向予測の中で「ビジネスメール詐欺」の増加と新たな「ビジネスプロセス詐欺」の出現に注目するよう警告している。いずれも「なりすまし」を手段にした「犯罪」である。

「ビジネスプロセス詐欺」は「ビジネスメール詐欺」のさらに進化形である。すでに蔓延している「ビジネスメール詐欺」は、何らかの方法で取得した社内関係や取引先関係の情報やメールアドレス情報を基に、経営者や取引先になりすます。その名をかたって企業や団体、各種機関の財務会計担当者に「偽の送金指示」などを行ってまんまと金銭をせしめる犯罪である。詐欺を仕掛けてくる側は、サーバーなど攻撃用のインフラを用意する必要がない。組織内システムに入り込んでメールデータやメール交換情報を窃取し、これを基に「なりすまし」の不正メールを送り付けることで、高額な金銭をだまし取ることができる。

企業内の組織図や経営者、主要部署の担当者のメールアドレスなどが流出すると、こうした2次被害の危険を招くことになる。組織図や社員のメールアドレスの流出、それ自体は一見、たいした被害ではないようだが、実は多くの犯罪に「なりすまし」のための基礎データを提供することになる。重要な情報流出なのである。特に一般社員だけではなくて、特権IDやシステム管理者権限などの重要情報が乗っ取られると、事態はさらに深刻になる。

ビジネスメール被害は、米国FBIの報告を基にトレンドマイクロ社が分析したところによると、1件当たりの平均被害額が約14万米ドル、日本円にして1600万円以上に上るという。

さて、新たの「ビジネスプロセス詐欺」だが、その事例が明らかになったのは、16年に起きたバングラデシュ中央銀行のハッキング被害である。同行の被害額は8100万米ドル、日本円にしてざっと100億円近くになる。社内の組織関係や取引関係の情報を基にした「ビジネスメール詐欺」の枠を越えて、同行内部の送金プロセスを綿密に調査して、このプロセスに入り込んで不正な送金を実行させる。業務プロセスにまで入り込んでくるので、トレンドマイクロでは「ビジネスプロセス詐欺」と名付けたという。名付け親はトレンドマイクロ社である。

こうしたなりすまし犯罪の被害を回避するには、基本的に、保管している情報ファイルを盗まれないことである。保管ファイルの中でも社員や取引先のメールアドレスや職位、担当業務、取引履歴などは重要情報として漏洩を回避しなければならない。攻撃する側が「盗む技術」を向上させている。

守る側も新しい発想、技術を考案し、提供してゆかなければなるまい。秘密分散技術もその一つといえよう。

ZenmuTech からのコメント by CTO 友村清

 4月7日にプレスリリースされた「ZENMU for Meister」は、情報管理者とシステム管理者を完全分離したファイルシステムです。 この完全分離により、特権IDを持ったシステム管理者でもファイルシステムにある情報を見ることが一切できなくなります。この 完全分離を実現した「ZENMU for Meister」に利用されている秘密分散技術を応用することで、新しい認証システムを構築することが できます。この新しい認証システムによって、「ビジネスプロセス詐欺」などの「なりすまし」による情報漏洩を防ぐことが可能に なると考えています。

ZENMU for Meisterの概要は、こちら

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