2023年06月14日
シンクライアント端末のメリットデメリットとは
シンクライアントとは
シンクライアントは、「Thin(薄い)+ Client(クライアント)」という英語からきている用語で、パソコンの端末自体にはデータやアプリケーションなどを保存せずに、社内にあるサーバーにほとんどすべての処理を一任するというシステムのことを指します。シンクライアントという言葉が出てきたことで、従来のデータを保存するPCのことを「FAT PC」と呼ぶようなケースも出てきました。
シンクライアントはサーバー側が行った処理内容に基づいて端末に画面を転送するため、社員が使用するシンクライアント端末ではキーボード入力やマウス操作などの必要最低限の処理で済みます。この転送作業がシンクライアントを実現するための方法の一つである「仮想デスクトップ」(VDI=Virtual Desktop Infrastructure)です。「仮想化」とは、「ソフトウェアによってサーバーの仮想空間上にCPU、メモリ、HDDといったハードウェアの要素を構築して動作させること」を指します。仮想化によって動作させる対象がデスクトップ環境である場合、仮想デスクトップと呼ばれます。仮想デスクトップは、仮想空間の中にデスクトップ環境を作り上げ、その画面をクライアント端末に転送するというハードウェアに依存しない技術で、近年多くの企業が導入しています。
シンクライアント環境には、ネットブート型と画面転送型の2種類あります。ネットブート型は、ネットワーク上のイメージファイルをシンクライアント端末の起動時にダウンロードする仕組みです。一方画面転送型は、アプリケーションのインストールや実行をサーバー側が行い、その結果の画面をシンクライアント端末に表示させる仕組みです。
また、シンクライアント端末にも、デスクトップ型、モバイル型、USB型、ソフトウェアインストール型の4種類あり、それぞれの利点に合わせて活用されています。
シンクライアントが普及した背景にある3つのメリット
シンクライアントは最近話題になっていますが、近年になって初めて登場したものではありません。シンクライアントの技術や概念そのものは、1996年にオラクル社がネットワーククライアントシステム「Network Computer」を発表したのをきっかけに広まりました。さらに、シンクライアントが幅広い企業に導入されるようになった理由は、以下の3つのメリットにあります。
1つ目のメリットは、サーバー側でOSやアプリケーションを一元管理できることです。中央サーバーのみを管理するだけで済むため、運用管理コストを低減できます。しかし、特に日本では、アプリケーションの管理は行われていないケースが多いのが実情です。
2つ目のメリットは、安全性が高いことです。シンクライアントは端末にデータを保存することができないので、万が一端末を紛失しても情報が漏洩することはありません。また、個人的にアプリケーションをインストールすることもできないため、一律のセキュリティを確保できます。
3つ目のメリットは、耐久性に優れていることです。シンクライアントは壊れやすい可動部品が少ないため、消費電力を約8〜20ワットに抑えることができ、故障する確率が低くなっています。
デメリットにも注意が必要
管理性・セキュリティ・耐久性に優れているシンクライアントですが、2つのデメリットも理解しておくことが大切です。
1つ目のデメリットは、パフォーマンスや操作性の劣化です。シンクライアントはOSやソフトウェアの処理をサーバーに一任するため、サーバーに大きな負担がかかってしまいます。その結果、アプリケーションの動きやキーボードの文字入力が遅くなったり、マウスをクリックしてもなかなか応答が返ってこなかったりというような情報処理の速度低下、また応答障害を引き起こす可能性があります。これらのシステム障害を防ぐために、企業は強力なサーバーと高速通信のネットワークインフラを確保する必要があります。
2つ目のデメリットは、従来のPCと比べて初期費用がかかることです。特に、近年主に利用されている仮想デスクトップを導入する場合は、最新のウイルス定義ファイルが適用されたOSやアプリケーションに加えて、サーバーやストレージ、制御ソフトウェアなどが必要になります。いったんシンクライアントを導入すれば、コストダウンも見込めますが、思ったような費用対効果を得られない可能性もあります。
秘密分散技術ならセキュリティとパフォーマンスを両立できる
シンクライアントの問題点を解決するためには、さまざまな方法がありますが、パフォーマンスの面に注目すれば、通常のPC(FAT PC)のセキュリティを高めるというのも1つの解決策です。
そうした背景から、近年注目されているのが秘密分散技術です。秘密分散技術とは、データを複数に分散することで、それぞれのデータを無意味化するという技術です。通常のPCで使用でき、分散したデータのすべて、または特定の数を集めなければ、元のデータを復元することができないため、万が一PCを紛失してしまったり、盗難に遭ったりしても、情報が漏洩する心配はありません。このように秘密分散技術によって、データ漏洩防止のセキュリティを強化できるだけではなく、アプリケーションは個々の端末上で稼働させるため、サーバーに負担をかけすぎずに済みます。また、仮想デスクトップの導入に必要なOSやアプリケーションなどが不要なので、初期費用のコストを削減できます。
国内では、シンクライアントのコストやパフォーマンスの問題から、同課題を解決しつつデータの安全性も確保可能な秘密分散技術を採用する企業も増えてきています。
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